ダイコン属(ダイコンぞく、Raphanus)は、アブラナ科の属の一つである。

概要

ヨーロッパから東アジアまで、ユーラシア大陸の温帯地域に広く分布する耐寒性の一年草である。リンネはこの属の植物として、栽培化されたラディッシュ(Raphanus sativus)、セイヨウノダイコン(ワイルドラディッシュ、Raphanus raphanistrum)、ラットテールラディッシュ(Raphanus caudatus)の3つの種を記載した。様々なその他の種(特に東アジアのダイコンの変種)が提案されており、ラットテールラディッシュはR. sativusの変種と見なされることがあるが、明確な意見の一致は得られていない。R. sativusもセイヨウノダイコン R. raphanistrumの亜種(Raphanus raphanistrum subsp. sativus)として扱われることもある。

日本のダイコンと欧米で作られているラディッシュ(二十日大根)は、中国大根とともに同一種である。根茎は多肉質で、球形・円柱形・円錐形・紡錘形などのものがあり、守口大根のように長さが1メートル近くあるものや、桜島大根のように質量が十数キロになるものもある。日本の大根はほとんどが白色であるが、二十日大根は赤や紅紫色のものが多く、中国大根には鮮やかな緑色のもの、外は白いがなかが紅色のものなどがある。花は、菜の花によく似た4弁花で、白のほかにごく淡い黄色や紫のものがある。開花させるとスが入るので、農村地帯でも大根の花を見る機会はあまりないが、割合美しいものである。欧米ではこの属のR. caudatusが、観賞植物として栽培されている。

なお、属名はハツカダイコンを意味する古いギリシャ語から、大根の種名sativusは、「食用の」の意味である。

ダイコン属でないダイコン

下記の植物は、花や根がダイコンに似ているため、「~だいこん」と言う和名がついているが、ダイコン属とは別の仲間である。

  • ハナダイコン(Hesperis matronalis)アブラナ科ハナダイコン属。観賞用植物。
  • ワサビダイコン(Armoracia rusticana)アブラナ科ワサビダイコン属。粉わさびの原料などに使われる。
  • サトウダイコン(Beta rubra)アカザ科テンサイ属。別名、テンサイ、サトウヂシャ、ビーツ。砂糖を採集するほか野菜としても使われる。

脚注


ダイコン(大根)の育て方と植物の特徴をわかりやすく解説

ハマダイコン

ダイコン(大根)の育て方と植物の特徴をわかりやすく解説

ダイコン5兄弟 LLC制度研究会ブログ

日本は世界で最もダイコンの品種が多く、800種以上存在する=鬼室黎撮影(6/35)-特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」 特別展「和食