1989年の映画(1989ねんのえいが)では、1989年(昭和64年/平成元年)の映画分野の動向についてまとめる。

1988年の映画 - 1989年の映画 - 1990年の映画

出来事

世界

  • 3月3日 - 米国・ロサンゼルス、日本映画見本市開幕。
  • 4月1日 - 『火垂るの墓』(高畑勲監督)が第1回モスクワ青少年映画祭グランプリ受賞。
  • 4月3日 - 米メジャースタジオのMGM/UAがUAスタジオ部門を売却。
  • 4月30日 - イタリアの映画監督セルジオ・レオーネ死去。
  • 5月23日 - 『黒い雨』(今村昌平監督)、第42回カンヌ国際映画祭で、高等技術委員会賞グランプリ、および、全キリスト教会審査委員会優秀作品賞受賞。
  • 7月24日 - 米出版大手タイムによるワーナー・コミュニケーションズ買収決定。新会社「タイム・ワーナー」発足。
  • 8月9日 - 日本ビクター、ロサンゼルスにラルゴ・エンタテイメント社を設立。
  • 9月15日 - 『千利休 本覺坊遺文』(熊井啓監督)、第46回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞。
  • 9月27日 - ソニー、米コロンビア映画買収。翌28日には映画・テレビ製作会社グーパー・ピータースエンターティンメント社買収。
  • 11月1日 - 東映国際部、『黒い雨』(今村昌平監督)をパリで拡大公開。世界24か国とMG〔ミニマム・ギャランティ=最低保証金〕付歩合で成約、総額120万USドルと海外セールス好調。
  • 11月21日 - 『あ・うん』(降旗康男監督)、第34回アジア太平洋映画祭作品賞受賞。
  • 11月30日 - 俳優・三船敏郎が仏芸術文化勲章受章。

日本

  • 1月
    • 1月7日
      • 昭和天皇崩御。
      • 映画館は半旗掲出、一部では興行を自粛したところも。
      • 東宝の対応は、弔旗の掲揚、弔辞の掲出、従業員の喪章着用、弔意の場内放送、休憩時間の音楽・CFの中止、呼び込み・場外放送の中止、華美なネオンサインの消灯など、2日間弔意を示した。
    • 1月14日 - 『将軍家光の乱心・激突』(降旗康男監督)、ヒット。
    • 1月16日 - 新宿ロマン劇場、64年の歴史を終え閉館。
  • 2月
    • 2月1日 - 東映、オリジナル・ムービー・シネマの先駆けとなる「東映Vシネマ」の製作発表。3月10日、東映と東映ビデオ共同で「Vシネマ」を発売、のちにブームに。
    • 2月9日 - 漫画家・手塚治虫死去。
    • 2月10日 - 東京調布市・にっかつ撮影所、第5スタジオで東北新社使用の撮影機材から出火、1人死亡。
    • 2月26日 - 渋谷東宝劇場、渋谷スカラ座、渋谷文化劇場の3館が再開発のため閉館。
  • 3月
    • 3月11日
      • 映画「ドラえもん」シリーズ10作目、『ドラえもん のび太の日本誕生』/『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』公開、大ヒット。
      • 『オルゴール』(黒土三男監督)、東映洋画系で封切、ヒット。
      • 東京・丸の内東映パラスが「丸の内シャンゼリゼ」と改称。
    • 3月17日 - 東宝映像美術、東宝アド・センターが参加した『アジア太平洋博覧会』が開幕(9月3日まで)。
    • 3月18日 - 脚本家・菊島隆三死去。
    • 3月20日
      • 松竹・東映相談役、東京急行電鉄会長五島昇死去。
      • 赤坂プリンスホテルで東映配給、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画・「魔女の宅急便」の製作発表会が開かれ、宮崎駿(プロデューサー、脚本、監督)、角野栄子(童話絵本作家)、徳間康快(徳間書店代表取締役社長)、都築幹彦(ヤマト運輸代表取締役社長)、高木盛久(日本テレビ代表取締役社長)が出席。
    • 3月25日 - 東宝映像美術、東宝企画、東宝アド・センターが参加した『横浜博覧会』が開幕(10月1日まで)。
  • 4月
    • 4月1日
      • 消費税(3%)導入に伴い、入場税廃止。
      • ジョイパックフィルムが「ヒューマックスピクチャーズ」、ジョイパックシネマが「ヒューマックスシネマ」と改称。
    • 4月17日 - サンリオ、毎年夏休みに東宝系で「サンリオアニメフェスティバル」を公開すると発表。
    • 4月22日 - 『もっともあぶない刑事』(村川透監督)、東映洋画系で封切、連続ヒット。
  • 5月
    • 5月13日 - 『黒い雨』(今村昌平監督)、東京・丸の内シャンゼリゼで先行ロードショー。
    • 5月24日 - にっかつ社長に若松正雄就任。
  • 6月
    • 6月1日 - NHK衛星放送、本放送開始。8月1日、有料化。
    • 6月10日 - 『社葬』(舛田利雄監督)封切、好調なスタート。
    • 6月24日 - 美空ひばり(歌手・俳優)死去。7月6日、女性初の国民栄誉賞追贈。7月22日、東宝、日本コロムビア、コマ・スタジアムの3社による合同葬。
  • 7月
    • 7月6日 - 角川春樹事務所作品『天と地と』、東宝から東映に配給を変更。
    • 7月17日 - 脚本家・井手雅人死去。
    • 7月29日 - 『魔女の宅急便』(宮崎駿監督)、東映洋画系で封切、ヒット。
  • 8月
    • 8月3日 - 成人映画配給・新日本映像設立。
    • 8月29日 - 総務庁、連続幼女誘拐殺人事件に関連して社会問題化した残酷ホラー・ビデオの規制強化を提唱。
    • 8月30日 - 統括・東宝、制作・東宝映像美術の「東武ワールドスクウェア」のミニチュア建築物展示のデモンストレーションを東宝スタジオで開催。
  • 9月
    • 9月3日 - 東京・渋谷に「Bunkamura」オープン。ル・シネマ1・2開場。
    • 9月22日 - 映団連、映画館に対する公的規制緩和を関係省庁に陳情。
  • 10月
    • 10月7日 - 渋谷ジョイシネマ1.2開場。
  • 11月
    • 11月6日 - 俳優・松田優作死去。
    • 11月16日 - 東宝日比谷ビル(日比谷シャンテ)建築業協会賞受賞。
  • 12月
    • 12月23日 - 東京・丸の内東映劇場、大改装しリニューアル・オープン。

日本の映画興行

  • 入場料金(大人)
    • 1,600円
    • 映画館・映画別
      • 1,500円(松竹、正月映画『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』)
      • 1,500円(松竹、8月公開『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』)
    • 1,585円(統計局『小売物価統計調査(動向編) 調査結果』 銘柄符号 9341「映画観覧料」)
  • 入場者数 1億4357万人 - 1987年(昭和62年)の1億4393万人を下回るワースト記録。〔ただし、1991年にはワースト記録を更新する。〕レンタルビデオの影響が大きく、また、前年からの昭和天皇のご闘病での自粛ムード、消費税導入など、映画が一般の話題になる余地がなかった。ただし、入場料金の値上げがあったため興行収入は約3%のアップ。
  • 興行収入 1666億8100万円
  • 家庭用ビデオテープレコーダ(VTR)の普及率 63.7% (内閣府「消費動向調査」)
出典:「1989年度日本映画・外国映画業界総決算 日本映画」『キネマ旬報』1990年(平成2年)2月下旬号、キネマ旬報社、1990年、174 - 176頁。 

各国ランキング

日本配給収入ランキング

出典:1989年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟

全世界興行収入ランキング

出典:“1989 Worldwide Box Office Results”. Box Office Mojo. 2015年12月12日閲覧。

北米興行収入ランキング

出典:“1989 Domestic Yearly Box Office Results”. Box Office Mojo. 2015年12月13日閲覧。

日本公開映画

1989年の日本公開映画を参照。

受賞

  • 第62回アカデミー賞
    • 作品賞 - 『ドライビング MISS デイジー』
    • 監督賞 - オリバー・ストーン(『7月4日に生まれて』)
    • 主演男優賞 - ダニエル・デイ=ルイス(『マイ・レフトフット』)
    • 主演女優賞 - ジェシカ・タンディ(『ドライビング Miss デイジー』)
  • 第47回ゴールデングローブ賞
    • 作品賞 (ドラマ部門) - 『7月4日に生まれて』
    • 主演女優賞 (ドラマ部門) - ミシェル・ファイファー(『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』)
    • 主演男優賞 (ドラマ部門) - トム・クルーズ(『7月4日に生まれて』)
    • 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門) - 『ドライビング Miss デイジー』
    • 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - ジェシカ・タンディ(『ドライビング Miss デイジー』)
    • 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - モーガン・フリーマン(『ドライビング Miss デイジー』)
    • 監督賞 - オリヴァー・ストーン(『7月4日に生まれて』)
  • 第55回ニューヨーク映画批評家協会賞 - 『マイ・レフトフット』
  • 第42回カンヌ国際映画祭
    • パルム・ドール - 『セックスと嘘とビデオテープ』(スティーヴン・ソダーバーグ)
    • 監督賞 - エミール・クストリッツァ(『ジプシーのとき』)
    • 男優賞 - ジェームズ・スペイダー(『セックスと嘘とビデオテープ』)
    • 女優賞 - メリル・ストリープ(『A Cry In the Dark』)
  • 第46回ヴェネツィア国際映画祭
    • 金獅子賞 - 『悲情城市』(侯孝賢)
  • 第39回ベルリン国際映画祭
    • 金熊賞 - 『レインマン』 (バリー・レヴィンソン)
  • 第13回日本アカデミー賞
    • 最優秀作品賞 - 『黒い雨』(今村昌平)
    • 最優秀主演男優賞 - 三國連太郎(『釣りバカ日誌』『利休』)
    • 最優秀主演女優賞 - 田中好子(『黒い雨』)
  • 第32回ブルーリボン賞
    • 作品賞 - 『どついたるねん』
    • 主演男優賞 - 三國連太郎(『利休』)
    • 主演女優賞 - 田中好子(『黒い雨』)
    • 監督賞 - 舛田利雄(『社葬』)
  • 第63回キネマ旬報ベスト・テン
    • 外国映画第1位 - 『ダイ・ハード』
    • 日本映画第1位 - 『黒い雨』
  • 第44回毎日映画コンクール
    • 日本映画大賞 - 『黒い雨』

誕生

  • 1月10日 - 石黒英雄、日本の俳優
  • 1月25日 - 多部未華子、日本の女優
  • 2月25日 - 花澤香菜、日本の声優
  • 3月6日 - 岩田剛典、日本の俳優
  • 3月7日 - 永山絢斗、日本の俳優
  • 3月9日 - 千葉雄大、日本の俳優
  • 3月21日 - 佐藤健、日本の俳優
  • 4月1日 - 杉本有美、日本の女優
  • 4月26日 - 水崎綾女、日本の女優
  • 4月28日 - 佐野和真、日本の俳優
  • 5月19日 - 久保ユリカ、日本の声優
  • 5月23日 - 夏菜、日本の女優
  • 5月30日 - 満島真之介、日本の俳優
  • 6月3日 - 潘めぐみ、日本の声優
  • 6月5日 - 中島愛、日本の声優
  • 6月14日 - 溝端淳平、日本の俳優
  • 6月23日 - 竹達彩奈、日本の声優
  • 7月3日 - 賀来賢人、日本の俳優
  • 7月23日 - ダニエル・ラドクリフ、イギリスの俳優
  • 8月1日 - 黒川智花、日本の女優
  • 8月15日 - 岡田将生、日本の俳優
  • 9月27日 - 大久保瑠美、日本の声優
  • 10月16日 - 柄本時生、日本の俳優
  • 10月18日 - 仲里依紗、日本の女優
  • 11月8日 - 小林涼子、日本の女優
  • 12月16日 - 桐谷美玲、日本の女優
  • 12月27日 - 内田真礼、日本の声優

死去

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 斉藤守彦『映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?』ダイヤモンド社、2009年11月27日。ISBN 978-4-478-01134-8。 
  • 東映『クロニクル東映-II 1947-1991』東映、1992年10月。全国書誌番号:93017746。 
  • 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。 
    • 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。 

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